空白の4世紀
日本史において「空白の4世紀」という言葉がある。 『三国志』での邪馬台国に関する記述から『宋書』での「倭の五王」という天皇らしき人らの記述の150年間、倭国(日本)についての記述が中国の歴史書に現れない期間だ。『古事記』『日本書紀』以前は日本に歴史書が存在しないため、中国の歴史書に記されていることが日本の歴史に直結するのである。
日本の古代史は継体天皇が簒奪によって即位したのではないか、卑弥呼を神功皇后だとしている古事記は邪馬台国を大和政権が滅ぼしたのを隠しているのではないか、倭国が日本国に改名したとされているが倭国と日本国は別物ではないのかなどなどの謎が多数あり非常にロマンがあるのだが、これはワンピースにおける「空白の100年」にも通ずるのではないかと思い至った。
「空白の4世紀」の後には倭の五王によってヤマト王権が確立していったとされるが、まさに「空白の100年」の後に世界政府が樹立されたのと通ずる。
とはいえ、「空白の4世紀」はあくまで中国の歴史書に残っていないということであり倭国が歴史を隠蔽したということにはならないだろう。卑弥呼以前には倭国大乱という大きな内乱があったともされており、あくまで「空白の100年」のモチーフとしての「空白の4世紀」というだけではないかと思う。
海賊と武士
そしてもう一つ、「空白の100年」と「空白の4世紀」を紐づける根拠がある。
ワンピースの設定年代は「空白の100年」の800年後。日本史における12世紀(4世紀の800年後)の出来事といえば鎌倉幕府の成立だ。つまり、ワンピースは公家政権から武家政権への移り変わりをモチーフの一つである可能性は非常に高いと思う。
また、公家に相当する天竜人は非常にわかりやすい。喋り方が公家なのだからそのままである。
そして海賊は「武士」がモチーフになっているのだと思われる。ほとんど賊のようなものであった鎌倉武士のような悪役としての海賊、『武士道』の香りがする麦わらの一味のような海賊、いずれにせよワンピースの海賊が「武士」をモチーフにしているのは間違いないだろう。
広い意味での武士をモチーフにしているならば刀が大きく取り扱われるのも頷ける。最初の仲間である剣豪ゾロが刀を使うのはかっこいいからという以上の理由があるのかもしれない。*1
そして、世界政府(公家政権)を打倒しようとする勢力の中心に侍の国であるワノ国がいるのは非常に象徴的だ。武士の国が公家の世界と敵対するのは当たり前だし、世界政府(公家政権)と敵対する国なので侍・将軍・忍者はいても公家や天皇はいないのである。
