無とは何もないこと

総てがないのではなく「無」という状態があることずら

TEXHNOLYZE 感想

はじめに

TEXHNOLYZEの配信がない(フジテレビのサイトにはある)と言ってたらにゅーあろーんさんがDVDを貸してくれた。これ幸いとTEXHNOLYZEを一気見することに決めた。バトルスピリッツ ブレイヴが積み状態になってるが面白いアニメだしひとまずTEXHNOLYZEを先に見てしまうことにした。

幼少期にウルトラマンガイアに心を揺さぶられて20年。年初にデビルマンレディーを一気見して3月になってTEXHNOLYZEを一気見。1クールに小中千昭作品を3クール分も摂取してしまい2018年冬アニメは波乱のクールとなってしまった。

デビルマンレディーのときと同じく今回も感想記事を書くことにした。

各話感想

ROGUE:01 "STRANGER"

OPからして強すぎる"チカラ"を感じる。テーマ曲がインストゥルメンタルな作品はたまにあるけど、ここまで"チカラ"に全力を注いだOPはなかなか見ない。

本編もAパートは喘いでるくらいでまともな台詞は一切ない。unit2(DVD 2巻)を見た後に見るとある程度は何が起きてるのかわかるけど初見でこれを見ても何も分からないと思う。"チカラ"アニメーションとでも呼ぶと良いのか。

Bパートも台詞があるが特に話の意味がわかるようにはならない。

なんだこのアニメは。

ROGUE:02 "FORFEITURE"

吉井側の話はちょっとわかってきた。でも何を言ってるのかはよくわからない。

櫟士は右腕と左脚を切られてつれぇよと言ってる主人公らしき男でしかない。

なんだこのアニメは。

ROGUE:03 "TEXHNOPHILE"

ようやく主人公らしき男の名前がイチセとわかった。EDには櫟士と書いてあるけどそもそも読み方もわからないし。

死亡字幕をオンにしているので大西が救民連合と敵対してるっぽいこともわかった。まあ大西が何者なのかわからないので何もわからない。

テクノライズが義手・義足のようなものなのかなというのがなんとなくわかってきた。

死亡字幕で主人公の気絶字幕が出てきたんだけど、そういうのもありなのか。

ラストカットは櫟士が気絶してるカットを映してすーーっと終わった。なんだこのアニメは。

ROUGE:04 "SYNAPSE"

我等、人の上に立つ者に奉仕する事を生まれ定められた者たるや!?

否!

我等、己の幸いのみの為に生きるべき者か!?

否!

我等!救民連合の欲し求める事!

心・身・誠・救・済!!! 4話脚本より

ドクがテクノライズについて説明してくれた。説明してくれてもわからないものはわからない。

なんか救民連合の雰囲気が革命思想っぽいことがわかった。

櫟士テクノライズされた自分の手足に怒りを表すけど、櫟士の心理描写が極限まで排除されてるので何故そうなったのかよくわからない。

なんだこのアニメは。

ROUGE:05 "LOITER"

今回の脚本は吉田伸。遊戯王を書きまくってる人らしいけど自分のイメージはアグルや「運命の光の中で」だなあ。

それはさておき吉井がボロボロの娼婦を買ったりしてる。目的がよくわからないのでわからない。

ドクの研究所から逃げ出した櫟士がまた2話あたりの状態になってるが、ラストで地上に出てきたところでスッキリする感じがあった気がする。

「なんだこのアニメは」感もこれまでよりは収まった気もする。

ROUGE:06 "REPETITION"

テクノライズがなんなのかとか地上と地下に別れてることとかなんとなくわかってきた。

5話までがあまりにもわからなかったのでこれだけ情報出されるとビックリする。

ROUGE:07 "PLOT"

救民連合とオルガノが対立していて吉井によって戦いが避けられない情勢となるという非常にわかりやすい話だった。

任侠モノな雰囲気が一気に濃くなってきたし一気に話が動いてきた感触が得られた。

死亡字幕の893年ってふざけてるのかと思ったけど、任侠モノだから893年だったのか。いや、任侠モノでも893年はふざけてるけど。死亡字幕そのものも仁義なき戦い(見たことない)のパロディなのか。

ROUGE:08 "CRUCIBLE"

ラカンというクソガキ不良共の集団が救民連合とオルガノの争いに首をつっこんできたのはわかった。

吉井が狂言回しとしていろいろ暗躍してるっぽいのはわかった。

櫟士周りの話は全然わからん。ドクの飼ってる実験動物が死んだっぽいことしかわからん。

オルガノに血まみれで入ってきた人もわからん。

「心・身・誠・救・済」と唱和する連合員とか大西の台詞とかが絶妙に聞きやすいようになってて耳で感じる雰囲気が心地よい。

面白くなってきた。

ROUGE:09 "WIGGLE"

大西が責任取ってケジメつけろやという仁義なき戦いみたいなやつなのかな(仁義なき戦い見たことないので適当な想像)。

今のところ字幕で主人公と書かれてるだけの櫟士より大西の方が主人公っぽい。

ROUGE:10 "CONCLUSION"

吉井が櫟士に殴られて落ちて銃殺された。ここまで見事に狂言回しを全うして死んでいったキャラはなかなかいなそう。

展開も動くし設定も見えてくるし大西は死ぬしで『CONCLUSION』というサブタイトルにふさわしい前半のまとめになってる回で面白かった。

物語が吉井の手から離れたことで新たな動きを見せると思うので今後の展開の期待も膨らむ。

ROUGE:11 "VAGRANT"

vagrantと言ったら仮想環境を構築するソフトしか思い浮かばなかったけど「放浪者」「浮浪者」といった意味があるらしい。なるほど。

実の息子に対価としてセックスを要求する父親ナニモンだよ。

水野が連合やラカンにあしらわれるギャグ回の雰囲気。字幕もふざけてる。前回いろいろやったけど小者だったのでギャグみたいに片付けられてしまった。

櫟士オルガノに加入してようやく本筋に関わってくる感じ。セリフも今までに比べてはるかに多かった。折返しにしてようやくまともにセリフが入ってくる主人公はなかなかいなそう。

話もどんどん動いてくれるし面白い。

ROUGE:12 "PRECOGNITION"

シンジがなんでもいいと言ったら露骨にイラッとしたヨウコはなんだろう。

櫟士の親父の話が出てきたりと櫟士についての過去が描かれたり、蘭と櫟士

ROUGE:13 "VISTA"

櫟士がスーツになった。

1話で出てきたっぽいガベがようやく話に関わってきた。

物語はカタストロフに向かってるのかなというのも見えてくる。

ROUGE:14 "REJECTION"

テクノライズが上の世界のありようとも関わってるっぽい。

櫟士が悩んでたりと序盤からすると信じられないほど人間味のある展開になってきた。

ROUGE:15 "SHAPES"

アクションが多くて見やすい回だった。

"幽霊"が終盤に向けてのキーポイントになってくるのかどうかはまだ何とも読めない。

ROUGE:16 "STRAIN"

ラカンも連合もオルガノも分裂してロボット兵みたいなのが出てきて流9洲の終焉に近付いてそう。

救民連合は久々に出たら分裂してるし、今後の活躍に期待したい。

流9洲100年の歴史て893年じゃなかったんかい。

後半になってどんどん話が凝縮されていってるように感じる。

ROUGE:17 "DEPENDENCE"

木俣は犬死するし連合員は特攻始めるし救民連合という組織は徹頭徹尾狂信的集団だった。

TEXHNOLYZE』というタイトルに物語がフォーカスしてきた印象。これが元から決まっていた展開ではないというのが凄い。

古波蔵がシェイプスへテクノライズされる際の"分解"の様子がグロ描写でもなく坦々と描かれてるのがエグい。

ROUGE:18 "THRONE"

物語も大西が足を渡した金持ちにまとまってきていよいよ大詰めというところ。

櫟士オルガノに加入してからここまで話はわかりやすい内容で展開してくれたおかげでスイスイ見れた。スイスイ見れたので感想も短くなってしまった気がする。

次回はついに上の世界の話になるのにTV放送では飛ばされたのやばいな。

ROUGE:19 "HEAVENWARD"

ついにやってきた地上はのどかな風景なことに面食らう。櫟士も見たことない景色に面食らっている。

咲村の上司的な人が少女の姿で出てくるけど、ドクの幼少期の姿のように見えた。あるいはドクの視点で描かれているからそういう描写なのかもしれない。

地上ののどかなのに不気味、不気味だけどのどかな描写は秀逸。流9洲の薄暗い世界との対比も効いている。

ROUGE:20 "HADES"

ドクの幼少期かと思ったけど、櫟士の視点でも同じ姿なので特にそういうわけでもなさそう。
DVDブックレットを見たら幼女の姿で警戒心を起こさせないためか近親者かとか書かれていた。警戒心を起こさせないためというのは最近流行りのVRChatにも通ずるところがある。

ドクは自殺?し、遠山も櫟士と戦って死ぬ。 終盤になるにつれて主要キャラクターが退場していく展開はデビルマンレディーも思い出す。そうすると不動ジュンが腕を失って終わるのもなんとなく意味を見出したりしたくなる。

櫟士が父親のような幽霊に話をすることで、ようやく櫟士が物語の中心で動いたという感慨がある。

市庁舎ってなんだったんだろうか。地上は平和な世界を追い求めたディストピアの末路みたいなものなのだろう。

流9洲歴 893年 昼
         ドク、地上に永眠ス

なるほど

流9洲歴 893年 昼
         蝉、ミーン ミーン 眠ス

は?

ROUGE:21 "ENCEPHALOPATHY"

19,20話が放送されなかったからかOPの代わりに歴史が語られる。本編よりわかりやすい。

地上における人類の袋小路を描いた後に描かれる流9洲という街の袋小路。いつの間にかシェイプスは一層されオルガノの残存勢力と暴徒と化した民衆の争いになっている。吉井もそうだったけど、変革を行おうとするものは変革のきっかけになるけどそのものの変革にはなってないような描写になってるような気がする。

道子がボロボロになっているのが悲しい。

櫟士よりも主人公らしかった大西。最期まで主人公らしかった。

ROUGE:22 "MYTH"

見事なまでの全滅エンド。

冒頭でシェイプスの凄い銃を防ぐ凄い盾が登場したり乾がシェイプス化していたりが一気にダイジェストされる。本来はもっと話数があったとのことなので元のエピソードから削られたものなのかな。

シェイプス樹木化している古波蔵がシェイプスになって良かったとか等活第9小地獄とか言ってるのもど~~でもいい感じになっている。

そして、最後の最後まで死亡字幕が自己主張してくる。なんだよあのスペース。

『実録!救民連合』

死亡字幕にとどまらず、実写の特典映像でも悪ふざけをし始めた。

「4へぇ」で放送当時トリビアの泉が人気だったことやフジテレビで放送されていたことに思いを馳せる。

『実録!ガベの男衆』

救民連合よりも悪ふざけ度合いが上がってる。ってか平尾(仮名)さんナニモンだよ。

それでいてガベの体制は長老が作ったという発言もあったりと裏設定が開示されてたりするのも面白い。

『実録!ラカンメンバー』

また平尾(仮名)さんだ。流石に方向性がわかってきた。へぇへぇ

『実録!オルガノ

平尾(仮名)さんシリーズ最終話。ちょっとマンネリかな。『実録!救民連合』がインパクト、内容ともに良かった。

平尾(仮名)さんシリーズは「かつて流9洲と呼ばれた都市で発見されたもの」ということで流9洲の終焉のその後を感じさせる一文がなかなか良い演出になってる。

全話視聴して

小中氏がデジモンテイマーズのBD-BOX用に解説したサイトにデビルマンレディーTEXHNOLYZEの脚本がアップロードされてるので一部を読んだ。22話b1以外は最終稿ではないのかコンテで大きく変わったのか本編と違う箇所がわりと多い。1話は本編よりも更に台詞が少なかったというのが凄い。

死亡字幕やDVDの注意書きの裏面や実録!平尾(仮名)さんシリーズや公式サイトに並ぶ遺影などなど本編以外はふざけたコンテンツだらけだったが本編の話自体は全く明るくないし、全然愉快な話でもない。

テーマ的なこと

全体を通して見ると3つの柱がある構成になってるように思った。といっても必ずしもそういう意図があったとも限らないような発言はブックレットやTwitterに見える。

流9洲の街の任侠バトル

吉井・大西を中心とした流9洲・オルガノについての話は観たままわかりやすいけどあくまで狂言回し的な意味合いが強いのかなとも思う。小中脚本が中盤には12話にしかなかったのもそういう印象になる。それでも吉井さんがあの雰囲気で暴れまわるのは面白いし大西は最後までかっこよかった。

ところで大西が32歳はわかるとして、吉井さんが28歳なのは流石に老け過ぎでビックリした。地上人は刺激がなさすぎて老けるんだろうか。

オルガノで変わっていく櫟士

「怒りに任せて暴れるだけのクソガキだった櫟士がドクのテクノライズの影響もあってかオルガノに入って大人になり父親と向き合うことができた」
おそらく櫟士のエピソードをまとめるとこうなるか。櫟士の心情という軸は意外と単純に構成されてるように思う。

テクノライズによる進化と袋小路

テクノライズによる進化は櫟士のエピソードとも絡んでいるが、やはりシェイプスという異形のテクノライズを登場させたことで『TEXHNOLYZE』というタイトルと向き合えた気がする。

結局、ドクによるテクノライズもシェイプス化テクノライズも日の目を見ることなく流9洲の歴史へ消えていった無常さが終わりのイメージに良かった。

暴力的な者などを排除して作った地上の世界は『デビルマンレディー』の神となったアスカ蘭に救われた世界ともイメージが重なる。安らぎしかない世界には刺激も何も存在しないんだろう。

人類の進化という見方をしたのは放送中の『重神機パンドーラ』1話と2話の間に終盤の話数を見たという影響も多分にあると思う。逆に『パンドーラ』2話で世界の進化について描写されていたところではTEXHNOLYZEを思い出したりもした。関係のない作品だったとしても自分という個人が見る以上はなんとなく重ねてしまうところはあるものだけど、パンドーラが始まったこのタイミングでTEXHNOLYZEを見れたというのは「すべてのことには意味がある」を感じざるをえない。

ツイートを見て

小中さんは「最初は辛いけど後半はスルスルいきますよ」、にゅさんは「1話から面白かつた」と反応を貰ったりした。

自分の感想としては1話は圧倒的なチカラで一気に引き込まれるし、4話の救民連合に話をつけに行く大西とかで面白いけど、後半スルスルというのは非常に納得がいく。特にシェイプスが出てきてからは話の展開が急激に早くなるので一気見の充実感が最高だった。