製作委員会方式というのは東宝などの映画会社の単独出資で映画を作っていた映画業界が複数社の出資によって映画を作るようになったことからできた用語です。
ということで、出資した会社の総称を製作委員会と呼ぶわけですね。
鬼滅の刃のクレジットは製作 アニプレックス 集英社 ufotableと3社がクレジットされています。3社が名を連ねている以上は明らかに製作委員会方式で作られています。
しかし、「鬼滅の刃は製作委員会方式ではないから良い」という謎の主張をする人たちが大勢います。
この謎の主張の根幹を探ってみたいと思います。
けものフレンズ製作委員会
コメントなどを追ってみると「けものフレンズプロジェクトA(TVアニメ『けものフレンズ』の製作委員会)」の問題を想起しているようです。
という思考です。
けもフレの製作委員会について「利害関係者が多いから問題が起こった」という主張があります。ここでその真否を問うつもりはないですが、関係する会社の数の問題であって製作委員会方式であるかどうかの話ではないですよね。
製作委員会方式ではないアニメ
まず思い浮かぶのは読売テレビの名探偵コナンでしょうか。「製作・著作 NHK」というのが定番として使われるように以前はTV局が番組全体を構成するのが当然だった頃の流れですね。
それとは別にスタジオカラーの『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』やキングレコードの『ポプテピピック』など自社でコントロールしようという意思が明確に存在するアニメが挙げられます。後述の『TV局が製作委員会に入っていない』のメリットに通じます。
製作委員会の表記
今期のアニプレックスアニメでは
- 『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Ryhme Anima 「『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Ryhme Anima製作委員会 Dazed CO.,LTD. アニプレックス」名義
- 体操ザムライ
「「体操ザムライ」製作委員会」名義 - 戦翼のシグルドリーヴァ
「909整備補給隊 」名義 - 神様になった日
「アニプレックス・ABCアニメーション・ビジュアルアーツ・TOKYO MX・BS11・メ~テレ・ムービック・P.A.WORKS」の連名
のように連名だったりそうではなかったりしています。
神様になった日のように製作に名を連ねる企業が多数あっても製作委員会と表記していなかったり、ヒプマイのように参加企業が明示されていたりと様々です。
製作委員会に固有名をつけているかいないかの判断の基準はわかりませんが、表記の仕方が一貫していないのは見てわかるかと思います。
製作委員会ではないから鬼滅の刃は良かったという主張について
まず念頭においてほしいのはアニプレックス×ufotableではFate/stay nightでも「アニプレックス・ノーツ(TYPE-MOON)・ufotable」の座組みで作っていますし、鬼滅の刃で新たな試みをしているわけではないところです。
TV局が製作委員会に入っていない
TV局が入っていないので製作に介入されなかったというのは一理ある主張かもしれません。しかし、アニプレックスは国内でも有数のアニメ事業を行っている会社なのでTV局が関わらず力を入れた作品を多く排出しています。鬼滅の刃特有の話ではないです。逆にノイタミナなどではアニプレックスがTV局と連携したアニメもあります。「製作委員会を少数の企業で構成して作品の芯を保つ」という方針をとっているのであって、「製作委員会ではないから作品の芯を保てている」わけではないはずです。
製作委員会方式ではないからグッズが多数発売された
進撃の巨人など表記も製作委員会となっているアニメでも多数コラボグッズが販売されています。何を根拠に言ってるのか全く不明です。
「ヒットアニメだからグッズが多数発売された」んでしょう。
絶対ヒットするから製作委員会ではなく少数の企業の参加とした
少数の企業の参加だから製作委員会ではないという理屈が全く不明です。
『Re:CREATORS』も「アニプレックス 小学館 ABCアニメーション」の3社と少数ですが絶対ヒットする作品だったんでしょうか?
おわりに
「製作委員会方式は悪い。製作委員会方式じゃないから良かった」と言いながら製作委員会方式で作られているアニメを称賛する妙な流れはなくなってほしいです。