無とは何もないこと

総てがないのではなく「無」という状態があることずら

IDOLY PRODE星見編とアニメの比較

今更ながらアプリ版『IDOLY PRIDE』の星見編を見終えたのでアニメ版との違いをあげてみる。

第1章

星見編第1章でグループ結成ストーリーが描かれている。

星見編とアニメ版で決定的に違うのはこの「月のテンペスト」と「サニーピース」の結成までの経緯だろう。

アニメ: 6人が合格→渚合流→芽衣をスカウト→遥子加入→怜をスカウト 星見編: さくら・琴乃が合格→渚・すず・沙季が合格→さくらのためのグループ(サニピ)を作ることにして雫・千紗が追加合格→遥子が加入→芽衣をスカウト(加入は保留)→怜をスカウト→芽衣加入

という流れになっている。

アニメだと「さくらに抜けてもらう」が特に意味のない引きの台詞だが、星見編だと本当にグループを抜けているのでハッキリ意味のある台詞になっている。

EVERYDAY! SUNNYDAY! の MV で描かれているように、サニピはつらい過去との対比があるが雫と千紗が追加合格というのは大きい意味が出ている。

また、アニメだと10人揃ってからグループを分けていたが、芽衣・怜はグループを結成してからの加入なのも大きな違いになっている。この2人はグループ全体とは少し違う雰囲気があるが、実際それを狙ってスカウトしていると描かれている。

加入周りは星見編の方が深掘りされている

第2章

星見編第2章はキャラ個別のエピソードが描かれている。

アニメでは琴乃・さくらのメイン組の他は怜のバイトと芽衣の霊感に絞られているが、6人の描写もそれぞれ以下のようにある。

  • 遥子: お見合いと思いきや、キャリアの話
  • 雫: 自分を出す話
  • 渚: 琴乃のサポートだけじゃいられない話
  • すず: 実家から逃げ出してきた話
  • 沙季&千紗: 依存の話

特にすずはアニメだと「口座を止められた」の一言で終えているので意外なバックストーリーだった。

ほかにも、アニメで琴乃の真似で「どちらでもいい。みんなの決めたほうに 私は従う」と言う渚が生配信のクイズで出ていたが、星見編ではそれを琴乃が言ってたので混同して激ムズ度アップなことがわかった。

芽衣の霊感の描写はアニメだと加入当初からあるが、星見編では第2章終盤(NEXT VENUS グランプリ開催直前)でようやく明かされる。意外と芽衣と麻奈の組み合わせが出るのが遅い。

TRINITYAiLE と LizNoir

キャラエピソードだと渚のエピソードで優が近い立場だと出てきたりとトリエルの関わりが多い。アニメだと10話までほとんど出番がないのと対象的だ。

序盤のリズノワとの顔合わせは星見編にもアニメにもあるのでアニメでは相対的にリズノワ要素が大きくなっている。

第3章

第3章はNEXT VENUS グランプリ開幕。アニメの8,9話に相当する。

アニメで琴乃たちが心臓移植の話を知るのはデビューライブ後だが、星見編では琴乃とさくらしかいない最序盤に明かされている。

そして、さくらの心臓が麻奈の心臓だと話題になるのはアニメだと何の脈絡もなくネットで騒がれているが、星見編は医師と話したりするなかで牧野が確信し、それを週刊誌に掴まれて話題になるという筋の通った展開になっている。

アニメ版は脈絡がないがゆえのパワーが力強すぎるので、思い切りの良すぎる構成に感服してしまう。尋常ではない展開には尋常ではない展開が必要なんだと思わされる。

アニメでは1回戦だけだが星見編では1,2回戦を使っている。その分、描写は深掘りできているように思えた。たとえばサニピの1回戦の対戦相手の「DayDream」はアニメでは「song for you」の相手になっているが、星見編では2回戦での披露なので前座扱い。ちなみに、「DayDream」はバンプロ所属らしい。

全体的にはアニメの方がケレン味がきいているのだが、アニメでは本当に麻奈の心臓なのか明言していないのに対して、星見編では医師が麻奈の心臓だと暗に伝えている。ここだけ切り出すと星見編の方がケレン味が効いた展開になるが、アニメでは牧野が麻奈の心臓で間違いないと確信して間違いないと言い出すケレン味に繋がってくる。アニメのそう言われたわけでもないのに確信している牧野は星見編とは大きく印象が異なってくる。

アニメではさくらが記者会見で麻奈の心臓かどうかわからない(確かめようもない)と言っているのに相当するシーンは星見編だとステージ上で麻奈の心臓だと言い切っている。舞台裏のドラマというIDOLY PRIDEのコンセプトからすると、表舞台ではリアリスティックな描写にするアニメの方が納得がいく気がした。

細かな違いだと「どうして?って言ってる」「こっちは聞こえてる」のくだりは、アニメだと芽衣だが星見編では牧野がやっている。ここで芽衣を出すことで芽衣の天然っぽさを出しているアニメの上手い差し替えだ。

第4章

クライマックスのVSトリエル、VSリズノワ、決勝戦

アニメ10,11話は星見プロのストーリーは大きく変わらず据え置きでトリエルとリズノワの描写が大きく加筆されている。麻奈がリズノワを煽ったことを回収するような琴乃と莉央の握手がアニメオリジナルストーリーなのは肉付けがうますぎる。

星見編

…………いいステージだった いいアイドルになったな

アニメ

記録はいつか破られるものだ。 アイドルに必要なのは物語だ。 それは輝かしいステージの上でしか語ることはできない。 いいステージだった。

天才の肉付け。最強。

ちなみに、リズノワは最後まで2人しか出てこない。アプリは東京編が基本で星見編は前日譚みたいなものだからアニメのように出す必要がなかったのだろうと思われる。

ちなみに、6話の「麻奈、見てるか?」はセミファイナルの「麻奈、見てたか?」が元ネタっぽい。

ファイナル

セミファイナルとファイナルのあいだに麻奈が成仏する展開が来る。また、アニメ1話の幽霊になった麻奈と再開するシーンは麻奈との別れの直前に回想される。

勝戦は「サヨナラから始まる物語」を10人が披露するという同点優勝。正気ではあるが、アニメの天文学的確率での同点という正気ではない展開こそが大正解なんだろうと思わされた。

また、アンコールで琴乃が披露するのも「First Step」。こちらも星見編だけで考えるなら文句はないはずだが、アニメ最終話の麻奈との因縁を決着させる「song for you」の強さを知っているとどうしても無難に感じてしまった。

総評

アニメは全体的に麻奈と牧野を中心として再構成されているのがよくわかる。星見プロの個別の描写は7話などに集約されて、莉央との因縁などの描写が追加されている。

序盤の結成エピソードや個別エピソードはアプリでじっくりと描写できる強みがあったが、NEXT VENUS グランプリ開幕以降の劇的な展開はアニメの大胆なアレンジが非常に効いていることがよくわかった。

原作としての星見編も光るところはあるが、やはり後半の異様な説得力を出しているアニメに感嘆せざるを得ないなと思わされた。