無とは何もないこと

総てがないのではなく「無」という状態があることずら

応援上映について書いたレポート課題

履修している講義(ほとんど出席してない)の課題で応援上映について書くことにしたので、せっかくなので公開することにした。



本稿では、『劇場版プリティーリズム(2014)』およびその後継作品である『劇場版プリパラ ~んなあつまれ!プリズムツアーズ(2015)』、TVアニメ『プリティーリズム・レインボーライブ』の続編である『KING OF PRISM from PrettyRhythm(2016)追記:byとfrom間違えてるけど公式サイトが間違えてるのをコピペしたから仕方ないですねpic.twitter.com/06V44cM5iHで形作られてきたアニメ映画の新しい形である応援上映”(作品によって熱唱上映おうえん上映など表記が異なるが本稿では応援上映で統一する)について述べる。
応援上映とは、映画を見ながらサイリウムペンライトの使用やコールなどが認められている上映方式である [1] [2] [3]。この上映方式の先発となるものとしては『魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st』のファン有志による絶叫上映会 [4]が挙げられるほか、ライブイベントを映画館と生中継するライブビューイングとも共通する要素が多い。
『劇場版プリティーリズム』で初開催された時は舞台挨拶を兼ねた開催であったが [1]、これが好評を得たため、その後は舞台挨拶なしの応援上映が不定期に東京・神奈川で開催されることとなった。『劇場版プリティーリズム』はTVアニメ『プリティーリズム』のプリズムショー(歌・ダンス・フィギュアスケートなどの要素を取り入れたショー)の総集編映画であり、劇中でもショーに対するコールなどがあったため、その台詞を叫ぶことが多く行われるようになった。これを受けて作られた『劇場版プリパラ』や『KING OF PRISM』では、応援上映が不定期・首都圏のみの開催ではなく全国各地の劇場にて行われるようになった。また、作品の内容についても応援上映を想定した構成がなされるようになった [5]。『プリパラ』はアイドルを描いた作品であるため、ライブシーンに入る前に各キャラのペンライトの色を教えてくれるなど作品の内容にも応援上映の仕組みを盛り込んでいる。『KING OF PRISM』では女性キャラの台詞を字幕で演出することでそのシーンのアフレコをすることで没入感を得られるようになっている。
こ の応援上映と他作品のライブ形式のイベント上映の大きな違いとして、応援上映は複数回実施されているということがある。これによって観客の練度が上映を重 ねるごとに上がっていき、より深く楽しむことができるようになる。その一例として『劇場版プリパラ』の応援上映で一人の観客が行ったコールがその後の上映 で定番となっていくという事例があった。『プリパラ』では声優・アイドルとして活動しているグループiRisがメインキャラのキャストを担当している。そのため、舞台挨拶ではアニメ・声優ファンとしてよりもアイドルファンとしての側面が強い観客が多数参加しており、コールについてもアイドルのライブで見られるMIXなどが行われることもあった。アイドル現場でのコールのうち「超絶かわいい」と呼ばれるコールがあり、あるとき一人の観客が「超絶かわいいシオン(プリパラのキャラ)」というコールを行ったところ、後の上映でそのコールがアイドルファンではない層にも広がり、『劇場版プリパラ』の定番コールといえるほどにまでなった。一方、『KING OF PRISM』 では監督が舞台挨拶で、歌舞伎役者であるキャラが出てきた時に「七代目!」と歌舞伎の大向うをやってほしいという話が出て以降はやはりこれも定番化した。 また、観客の側でも主人公が嫌いな食べ物を聞かれるシーンで好き放題に自分の嫌いな食べ物を叫んだり、悪役が「殺す!」と言う瞬間に観客も揃って「殺 す!」と叫んだり、杖を手に叩く動作を真似したりとライブ以外の部分で声を出して楽しむ要素が大きく増えておりアニメでライブビューイングを表現した『劇 場版プリパラ』から一歩進んだ参加型アニメコンテンツとしての新たな表現が切り拓かれていると感じた。
応援上映が参加型コンテンツとして双方向性を持っている要因は作品本体と観客だけではなく運営側によるものも大きい。公式サイトの注意事項にあるとおり、コスプレでの来場も認められている [1] [2] [3]。舞台挨拶付きの上映などではコスプレして来場した観客の写真をTwitter公式アカウントで公開したり [6]、応援上映の様子を撮影した動画をyoutube [7] [8]で公開したりするなど参加したことのないファンにどんなものなのか伝える活動も行っている。これらの周知活動は非常に大きな役割を果たしているように見受けられる。
応援上映は観客が作り上げていく上映方式であるために、雰囲気作りが非常に重要となる。『アナと雪の女王(2013)』のみんなで歌おう上映が失敗した上映の原因として雰囲気が歌う雰囲気ではなかったという問題が挙げられている [9]。応援上映では、上記のように成功した上映の雰囲気を周知することで他の地域でも同様に盛り上がる雰囲気を作ったり、上映開始前に専用ナレーションを流すことで特別な上映ということを意識させたりするような雰囲気作りがなされている。
近年は家庭での映像再生装置が充実しており、映画の評判を聞いても「DVDが出たらレンタルして見よう」といった人も増えている。しかし、応援上映では他の観客の声を聞いたり、一緒になって声を出したりと、多数の観客の中で見ることが楽しさにつながっている。そのため、DVDで見るのではなく映画館で見ることが必須であり、参加してこそ楽しめるイベントとなっている。観客自身が映画のコンテンツとなる応援上映の双方向性は現代の新しい映画の仕組みとして新たな動きを作り上げていくことができるものであると私は感じている。



参照文献
1. 3/16(日)横浜ブルク13にて、熱唱上映&キャストトークイベント 詳細発表! (オンライン) 2014228. (引用日: 2016130.)  http://prettyrhythm-movie.jp/news/detail.php?id=1008001
2. 毎週金曜日&日曜日に「アイドルおうえん上映会」開催決定!!(全国5劇場にて). (オンライン) 2015227. (引用日: 2016130.) http://pp-movie.com/01/news/detail.php?id=1019449
3. コスプレOK!声援OK!アフレコOK!「愛をいっぱい届けよう!プリズムスタァ応援上映」全劇場で開催決定! (オンライン) (引用日: 2016130.) http://kinpri.com/news/detail.php?id=1030574
4. 関西空戦魔導師戦技映像資料鑑賞会. (オンライン) (引用日: 2016130.) http://lyrical-live.com/event.html
5. 劇場版『KING OF PRISM』監督、キャラ原案&デザイン……制作スタッフ陣のアツすぎる想い、みんなに届け! animateTv. (オンライン) 2016126. (引用日: 20161月30日.) http://www.animate.tv/news/details.php?id=1453429037
6. 『劇場版プリティーリズム』コスプレ来場者. (オンライン) 2014329. (引用日: 2016130.) https://twitter.com/PRR_music/status/449806892953370624
7. 「劇場版プリパラ」アイドルおうえん上映会(2015313日) . (オンライン) 2015319. (引用日: 2016130.) https://www.youtube.com/watch?v=4G2FFU8zHGE
8. 声援OK!コスプレOK!アフレコOK!劇場版「KING OF PRISM」プリズムスタァ応援上映PV . (オンライン) 2016128. (引用日: 2016130.) https://www.youtube.com/watch?v=FIJk6pT8U_A